地中海沿岸から始まったフランスのぶどう栽培は、ローヌ渓谷へ、ボルドー、ブルゴーニュへ、ロワール渓谷、シャンパーニュへと、少しずつ地方に広がっていきました。いま、フランスの国土すべてがワイン産地といえるほどです。しかも各地とも気候、風土、土壌がそれぞれに違い、育つぶどうの品種も異なるため、多種多様なワインが生み出されているのです。長い歴史のなかで、生産者たちは、ぶどう樹やテロワールと苦闘し、理解し合いながら、より良いワイン、より美味しいワインをめざしてワイン造りを進めてきました。そしていまも、その情熱を受け継ぎ、さらに大地の環境などに配慮する科学的理論を駆使し、伝統を重んじながらも最先端をいく、優れたワイン造りに挑戦しています。
フランスは、北緯42~51 度に位置し、日本の函館からサハリン島北部におよぶ緯度ですが、地中海や北西部からの暖流の影響を受けるため、気候は全体に温暖でかつ多様です。大別して3つの気候があります。
ぶどうは霜害に弱く、実が熟すためには暑さが必要で、暑いか、または温暖な地域のほうがぶどうがより成熟します。
「太陽がぶどうの色をつくる」といいます。赤ワインの色素を合成するために太陽エネルギーを必要とするからです。一般に白ワインは北で、赤ワインは南で造られることが多いのはこのためです。
ぶどうの樹を育て、完全に熟させるためには年間平均気温は高くなければなりません。一日の温度較差や寒暖のサイクルも必要です。
土は水や栄養分の貯蔵庫であり、ぶどうの樹を支える基盤。最良の土とは、水はけに優れ、根のところで水がたまらない土です。
良いぶどう畑は南や南東の正、小山などの斜面に位置していることが大切。太陽の光を受けやすくなり、ぶどうが十分に熟すからです。また霜害も少なく、水はけがよくなります。
醗酵によってぶどうがワインへ変化するのは自然のプロセスですが、それだけでワインの味わいや品質が決まるわけではありません。
より良い品質やスタイルを決めるのは、醸造家の手腕にかかっています。
赤ワインの場合、醗酵が終わったら自然流出ワインを抜き取ります。残った果皮、種子などを圧搾機にかけて搾ったものがプレスワインで、タンニンが強く濃い色です。自然流出ワインと混ぜます。白ワインの場合の圧搾は速やかに行い果汁のみを抽出します。
酵母によって糖分がアルコールと二酸化炭素に変換されます。赤ワインの場合は、醗酵から3~4日後に色とタンニンが出てきます。この後の醸しの期間は、熟成タイプのワインの場合は長くし、早飲みタイプのワインは短くします。
白ワインの場合は醗酵後の醸しは行いません。
シャンパーニュを除いて、ロゼワインは赤ワインと白ワインを混ぜて造ることはできません。ロゼの造り方には2つの方法があります。セニエ法(黒ぶどうをごく短時間マセラシオンし、目指す色調になったところで、タンクからぶどう液を除く)と、直接圧搾法(黒ぶどうを破砕すると果汁は薄く色づく。その後圧搾し、白ワインと同様に造る)があります。
ワインには、造られてからほどなく市場に出荷され、その新鮮な風味を楽しむ若飲みタイプと、適度に樽やタンクと瓶で熟成させるもの、長期にわたりじっくりと樽と瓶で熟成させるものなどいくつかのタイプがあります。
アッサンブラージュは最終的にめざすワインを造るために、異なるぶどう品種や区画のワインを混ぜ合わせることを意味します。その目的は、ワインの複雑さとアロマの豊かさを高めることにあります。その比率はヴィンテージ毎に異なります。クオリティにおいては1+1=3になり、単なる組み合わせ以上のワインが造られるのです。