美しい自然のなか、多彩で魅力的なワインが育まれます。LOIRE

フランス中央部から大西洋に向かって1000kmにわたって流れるロワール河。両岸には田園風景が広がり、由緒ある古城が点在し、"フランスの庭園"と呼ばれる美しい景観の地です。かつてこの一帯は封建領主などが住むフランスの中央であったため、ロワールのワインは王侯貴族たちにも愛され、時代とともに発展してきました。

ロワールの気候は全域が平均して穏やかです。ぶどう畑は河に沿った斜面や段丘にあり、日照がよく、大西洋からの湿った風に保護される、恵まれた気象条件です。土壌は地域ごとにさまざまな地質で成っています。この多様な土壌がロワールワインの種類の多彩さ、味わいの微妙な違いとなっているのです。全般的にロワールのワインはフレッシュでフルーティーな軽快さが魅力です。

主なぶどう品種
赤ワインカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、ガメイ、ピノ・ノワール、グロロー、ピノー・ドーニス
白ワインミュスカデ、シュナン、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ

ロワールのワイン産地は4つの地域に分けられます

● ナント地域

ぶどう畑は日照がよく、大西洋の影響を受ける斜面にあります。土壌は片岩質、花崗岩、沖積岩など。AOCワインは白のみで、ミュスカデ種を用い伝統的方式「シュール・リー(ワインを澱と共に寝かせる)」から造られるミュスカデ・シュール・リーが大半です。ワインは酸が豊かでフレッシュな爽やかさが特徴です。AOCはMuscadet(ミュスカデ)、Muscadet Sèvre-et-Maine(ミュスカデ・セーブル・エ・メーヌ)、Muscadet Coteaux de la Loire(ミュスカデ・コトー・ド・ラ・ロワール)、Muscadet Côtes deGrandlieu(ミュスカデ・コート・ド・グランリユー)があります。

● アンジュー&ソーミュール地域

アンジュー地区の土壌は石灰質、片岩質。AOCワインは赤、白、ロゼがあります。ロゼはフランス三大ロゼのひとつで、爽やかな甘口、軽快な辛口、繊細な辛口などタイプもさまざまです。ソーミュール地区の土壌は白亜の石灰質。AOCはAnjou(アンジュー)、Saumur(ソーミュール)、Coteaux de l'Aubance(コトー・ド・ローバンス)、Coteaux du Layon(コトー・デュ・レイヨン)、Bonnezeaux(ボヌゾー)、Savennieres(サヴニエール)、Rosé d'Anjou(ロゼ・ダンジュー)などがあります。

● トゥーレーヌ地域

大西洋と大陸性の両方の影響を受けた気候に恵まれ、野菜や果物、花などが豊かに育つ風土です。ぶどう畑は日当たりのよい斜面にあります。土壌は珪土質、粘土石灰質。ワインは、カベルネ・フラン種とガメイ種からフルーティーな赤、ソーヴィニヨン・ブラン種から軽めの辛口白、シュナン・ブラン種から白、発泡酒が造られます。シュナン・ブラン種で造る白は繊細ですが、時の経過とともにコクのある豊かな香りを醸し出します。AOCはTouraine(トゥーレーヌ)、Touraine Azay-le-Rideau(トゥーレーヌ・アゼイ・ル・リドー)、Bourgueil(ブルグイユ)、Chinon(シノン)、Montlouis sur Loire(モンルイ・シュール・ロワール)、Vouvray(ヴーヴレイ)、Jasnieres(ジャスニエール)などがあります。

● 中央フランス地域

ロワール河の上流に位置し、ぶどう畑は日当たりのよい台地にあります。土壌は石灰質に粘土が混じったもの。ワインはソーヴィニヨン・ブラン種によるフレッシュでエレガントな白と、ピノ・ノワールからしなやかで香り高い赤が造られます。AOCはPouilly-Fume(プイィ・フュメ)、Sancerre(サンセール)、Menetou Salon(メヌトゥー・サロン)、Quincy(カンシー)、Coteaux du Giennois(コトー・デュ・ジェノワ)などがあります。

4

マリアージュレシピ

●マリアージュのポイント

しっかりとした酸味と海のミネラルを彷彿させる味わいのあるこのワインは、揚げ物にぴったり。春野菜の甘み、香り、ほろ苦いおいしさを包み込み豊かなマリアージュが楽しめます。

そら豆とアスパラガスのシンプル春巻き × ミュスカデ

●材料 2人分:6本
  • そら豆 18個
  • アスパラガス(太め) 2本
  • 春巻きの皮 (一辺が10cm程度の物)3枚
  • のり
    • 小麦粉大さじ1
    • 大さじ1弱
  • 揚げ油適量
  • 適量
●作り方
  1. そら豆はさやから出し、豆の薄皮をむいておく。アスパラガスは、はかま(茎にある褐色の三角形部分)を取り、そら豆と同程度の大きさに12個に切っておく。
  2. 春巻きの皮は半分に切る。小麦粉と水を合わせてのりを作っておく。
    春巻きの皮の三辺にのりを塗り、真ん中にそら豆3個、アスパラガス2個を交互に並べ、春巻き状に巻き、のりで全体を閉じる。
  3. 揚げ油を中温に熱し、2 をこんがり揚げる。揚げたてに塩を軽く振る。

*揚げ油は、深さ2cm程度を目安に


巻き寿司 × 半甘口ロゼ

●材料 2人分:6~8切れ分
  • 寿司海苔1枚
  • 寿司飯300g
    (米一合を炊飯し、寿司酢大さじ2を混ぜて冷ましておく)
  • スモークサーモン40g
  • グリーンリーフ1枚
  • クリームチーズ(シェーブルでも可)40g
  • キュウリ(のりの長さに棒状に切った物)1本
●作り方
  1. 巻きすにのりを置き、手前2/3に寿司飯を四角く広げる。
  2. 1 の手前半分に巻きやすくちぎったグリーンリーフをのせ、その上にスモークサーモンを帯状に置き、棒状に切ったクリームチーズ、キュウリをのせて巻く。
  3. 巻き終わりを下にして、しばらく置き、海苔が落ち着いたら、食べやすい大きさ(6~8個)に切る。
●マリアージュのポイント

半甘口のロゼはまき寿司との相性が抜群。より甘めのロゼ(ロゼ・ダンジュなど)には、少し国のある天から味の具、例えば奈良漬けや甘めの卵焼き、焼き豚などが合います。


●マリアージュのポイント

タンニンがしなやかで、非常に凝縮感のある赤い果実の風味と心地よいフレッシュな酸味が和食にぴったり。味噌の甘辛さをワインの果実味が、素材同士の橋渡しになります。

米なすと鶏もも肉、青唐のミルフォィユ仕立て × カベルネ・フラン

●材料 2人分
  • 米ナス6cm程度
  • 鶏もも肉120g
  • 塩、コショウ適量
  • シシトウ4本
  • サラダ油適量
  • 味噌だれ
    • おろし生姜小さじ1/2
    • 味噌20g
    • みりん小さじ2
    • 砂糖小さじ1弱
●作り方
  1. 耐熱の器に味噌だれの材料を入れ、レンジ(500W)に10秒かけて取り出し、混ぜ合わせておく。米ナスは、1cm程度の輪切りにする。鶏もも肉は8枚のそぎ切りにして、軽く塩、コショウをしておく。
  2. ライパンに少し多めの油をひいて中温で熱し、シシトウをさっと炒め取り出す。その後フライパンにナスを並べ、両面が色づく程度に焼き上げ、キッチンペーパーに取って油を切る。フライパンの余分な油を捨て、再度中火にかけ鶏肉を入れる。両面こんがり火が通るまで焼く。
  3. 皿にナスを置き、味噌を薄く塗り、鶏を重ねる。さらにナス、味噌、鶏、ナスを重ね最後に味噌をのせ、シシトウを飾る。同様の物をもうひと組作る。

●マリアージュのポイント

辛口のカテゴリーでも、豊かな果実のうま味に富んでいるロワールのスパークリングワインは、濃厚な料理にもバランス良く調和し、料理の味わいに深みを与えます。

新じゃがと豚バラ肉のバター醤油 温玉添え × スパークリング

●材料 2人分
  • 新ジャガイモ小6個(300g)
  • 豚バラ厚切り200g
  • バター7g
  • 塩、コショウ適量
  • 醤油大さじ1弱
  • 温泉卵1個
●作り方
  1. 豚肉は一口大に切り、塩を小さじ1/3とコショウ適量をからめておく。
  2. ジャガイモは洗い半分に切る。鍋に湯を沸かし、ジャガイモを加えて固めに茹であげ、ざるでお湯を切っておく。
  3. フライパンを中火にかけ、豚肉を並べる。焼き色をつけながら豚肉に火を通し、いったん取り出す。フライパンをさっと洗い再度火にかけ、バターを入れ溶けてきたらジャガイモを加え、時々返しながらこんがり色がつくように焼く。
  4. 3 に豚肉を戻し入れ、さらに1分ほど加熱し、醤油をまわしかけ、香りが立ってきたら器に盛る。仕上げに温泉卵を乗せる。食べる際に卵を崩し、全体にからめる。

●マリアージュのポイント

非常にうま味のあるワインなので、刺身を昆布締めにし、より凝縮した味わいに。これには醤油より「うま味+塩」の塩昆布がおすすめ。パプリカは彩りだけでなく自然な甘みを添えます。

鯛の昆布締め 彩り野菜添え × シュナン・ブラン

●材料 2人分
  • 鯛の刺身100g
  • 昆布(鯛の大きさ)2枚
  • 潮吹き昆布ひとつまみ
  • パプリカ30g
  • かいわれ大根適量
●作り方
  1. 鯛の刺身は、昆布ではさみ、ラップでしっかりくるんで冷蔵庫で半日~1日置く。
  2. パプリカは食べやすい大きさの薄切りにする。
  3. 鯛を取り出し、食べやすいそぎ切りぬする。器に鯛を盛り、潮吹き昆布、パプリカ、かいわれ大根をのせる。昆布の塩分によっては塩を調整する。

*昆布締めで使った昆布は、だしを取るのに利用可


●マリアージュのポイント

品の良いタンニンのロワールのピノ・ノワールは、和牛との相性も良く、だし汁のうま味とクレソンの苦味にも絶妙なバランスで調和します。トマトの酸味がアクセントに。

牛肉とトマト、クレソンのすき煮仕立て × ピノ・ノワール

●材料 2人分
  • トマト3個(400g) 
  •  
  • すき焼き用牛肉200g
  • クレソン4~6束
  • だし汁150ml
  • 醤油50ml
  •       
  • 砂糖大さじ2
  •        
  • みりん大さじ1
●作り方
  1. トマトはへたを取り櫛形に切る。クレソンは食べやすく切る。
  2. すき焼き用の鍋(浅い鍋なら何でも)にだし汁と調味料を入れて沸かす。トマトを入れて沸いてきたら火を弱て3~5分ほど煮る。
  3. 2 に牛肉を入れ、半分程度火が通ったらクレソンを加え、火を強めてクレソンに軽く火を通す。

●マリアージュのポイント

赤のニュアンスと白の爽やかさ兼ね備えたピノ・ノワールのロゼは、赤との相性良いマグロと白にも合うアボカドや三つ葉を一緒に楽しむ際に、両者を取り持つ優れた味わいを持つワイン。

漬けマグロの三つ葉とアボカドの和え物 × 辛口ロゼ

●材料 2人分
  • アボカド小1個
  • マグロ(刺身用赤身)100g
  • 三つ葉1袋
  • 醤油適量
  • 小さじ1
  • わさび小さじ1/3
  • 適量
●作り方
  1. マグロはキッチンペーパーで包み、バット等に入れる。全体が湿る程度醤油を回しかけ、ラップをかけ、冷蔵庫で2時間ほど置く。
  2. 三つ葉は、塩をひとつまみ入れた熱湯でさっと茹で、冷水に落とし水気を絞って2~3cm幅に切っておく。
  3. アボカドを半分に切り、種を取って実をスプーンで取り出し、ボウルに入れフォークで粗つぶしにする。この中に酢、わさび、塩適量を加え味を調え、三つ葉を混ぜ合わせておく。
  4. 1 のマグロを食べやすい大きさに切り、3 と和え、器に盛る。

●マリアージュのポイント

濃厚な味わいを閉じ込めるように、じんわりと火入れしたサーモンのうま味と日本のハーブである大葉の取り合わせは、柑橘系の香りと酸味を持つソーヴィニヨン・ブランとの相性が一番。

サーモンのミキュイ 大葉ポン酢風味 焼きアスパラガス添え × ソーヴィニヨン・ブラン

●材料 2人分
  • サーモン(刺身用)100g×2切れ
  • 適量
  • オリーブオイル大さじ1/2
  • 大葉3枚
  • アスパラガス2本
  • ポン酢醤油大さじ1弱
●作り方
  1. アスパラガスは、はかまを取り、さっと茹で食べやすく切っておく。
  2. サーモンに塩をして5分ほどおき、表面の水分を拭き取っておく。
  3. フライパンにオリーブオイルをひき、サーモンをのせる。中火にかけフライパンが温まったら火を弱め、サーモンを裏返さず、片面からの加熱のみでじっくり火を通していく。下から半分程度火が通ったら、皿に盛りつける。
  4. サーモンの上に細切りの大葉をのせ、アスパラガスを添え、ポン酢醤油をかける。
4つばのクローバー

もっと、マリアージュレシピ。(表題をクリックすると、pdfファイルが開きます。)

2014レシピ 2015レシピ

Val de Loire

ページ・トップへ